
平成流し組合_Heisei Nagashi Group
流しとは?
ギター流し・料金・歴史・楽しみ方
1. 流しとは何か
流し(ながし)とは、街やお店を移動しながら、お客さんの求めに応じて歌や演奏などの芸を届け、その対価をいただく仕事です。酒場でギターを抱え、リクエストに応えて歌う「ギター流し」「流し歌手」がよく知られていますが、楽器や芸の種類は一つに限りません。
特徴は、お客さんのすぐそばで、その場に合わせて芸を提供すること。好きな歌を聴く、一緒に歌う、思い出の曲を仲間と分かち合う。いつもの食事や宴席の中で、気軽に生演奏を楽しめます。
2. 流し歌手・ギター流しとは
流し歌手は歌を、ギター流しはギターによる弾き語りや伴奏を届けます。一人で歌と演奏をする形もあれば、歌い手と楽器奏者がコンビを組む形もあります。バイオリンやアコーディオンなどで活動する流しもいます。
パリなかやまの著書『流しの仕事術』では、流し歌手を「場所を選ばず、即座にお客さんの目の前で演奏するのが特徴だ」と紹介しています。
演歌、昭和歌謡、フォーク、ポップス、洋楽など、得意な曲は演者によってさまざま。曲名を伝えて歌ってもらったり、生の伴奏に合わせて自分で歌ったりできるのも、流しの楽しみです。
3. 居酒屋や横丁での流しの楽しみ方
居酒屋や横丁で流しに出会ったら、聴いてみたい曲や、好きな歌手を伝えてみてください。選曲に迷ったら「懐かしい曲を」「誕生日を祝いたい」など、その日の気分や集まりの目的から相談することもできます。
一曲をじっくり聴く、仲間と合唱する、生ギターに合わせて歌う。流しは、その席の楽しみ方に合わせて演奏します。隣り合ったお客さん同士が、知っている歌をきっかけに言葉を交わすこともあります。
演奏は、お店の許可と協力のもとで行います。音量、料理の提供、通路、周囲のお客さんの会話に配慮することも流しの仕事です。お店・お客さん・演者の三者が気持ちよく過ごせる関係を大切にしています。
4. 流しの料金・チップについて
流しの料金には、主にチップ式と定額式があります。チップ式は、演奏への満足や感謝に応じて金額をお客さんに委ねる方法。定額式は、あらかじめ「一曲いくら」などの料金を示して演奏する方法です。
平成流し組合でも両方の方式があり、一曲500円などの定額で楽しめる現場もあります。ただし、料金や方式は演者・店舗・エリアによって異なり、全店共通ではありません。演奏を頼む前に、料金と支払い方法を確認してください。
チップ式も、芸やサービスに対して代金をいただく仕事です。また、イベントへの出張演奏は通常の店内巡回とは条件が異なり、内容に応じたお見積もりになります。
5. 流しの歴史と、演歌師との関係
流しのルーツを考えるうえで、江戸時代の「新内流し」は重要な存在です。三味線を奏でながら街を歩き、客に呼ばれると座敷で芸を披露する姿に、現在の流しと共通する働き方が見られます。
一方、明治時代には、世の中への意見や風刺を歌にした「演歌師」が活動しました。この時代の「演歌」は、現在の音楽ジャンルとしての演歌とは意味が異なり、演説に由来する歌です。
昭和には、酒場で流行歌を歌ったり、客の歌を伴奏したりする流しが親しまれました。北島三郎や遠藤実など、流しを経験して歌謡界へ進んだ人もいます。
ただし、酒場の流しを最初に始めた人物や、その成立過程の全体は明らかではありません。さまざまな芸と商いの形が、街の需要に応じて育ってきた仕事として捉えています。
6. 現代の流しと、平成流し組合
現代の流しは、目の前の人と音楽を通じて交流する仕事です。相手の反応に合わせて選曲や歌い方を変え、その場の会話や思い出に寄り添います。
代表のパリなかやまは2008年に流しを始め、2014年に平成流し組合を立ち上げました。音楽家が自分の技術を街で活かし、お店やお客さんとの信頼を保ちながら活動を続けられる環境づくりに取り組んでいます。
平成流し組合では、演奏場所の情報共有、シフトの調整、現場での心得の共有、出張演奏の相談などを行っています。演奏する人に仕事が生まれ、お店の時間が豊かになり、お客さんが喜ぶ。そのつながりを、日々の現場から育てています。
7. 流しに会える場所
平成流し組合の流しは、東京・神奈川の横丁や飲食店を中心に活動しています。渋谷、新宿、新橋、有楽町、上野、恵比寿、吉祥寺、溝の口など、街ごとに違う雰囲気の中で生演奏を楽しめます。
活動する演者や日時は、場所によって異なります。流しに会える街や店舗については「流しが来る街」をご覧ください。特定の演者の演奏を聴きたい場合は、出演情報を確認するか、お問い合わせください。
8. 流しを呼ぶ・生演奏を依頼する
流しの出張演奏は、誕生日会、歓送迎会、同窓会、結婚式、企業の宴席、地域イベントなどでもご利用いただけます。演奏を聴く会のほか、生伴奏で歌う会や、みんなで歌う時間をつくることもできます。
普段は楽器の生音と肉声で演奏するため、小さな会場でも取り入れやすいのが特徴です。広い会場での音響設備や演奏形式については、事前にご相談ください。
ご依頼の際は、日時、場所、集まりの内容、参加人数、ご希望の演奏時間と予算をお知らせください。内容に合う演者と方法をご提案します。飲食店などへ呼ぶ場合は、会場の責任者に演奏の許可を得てください。
9. 流しになるには
流しには演奏の技術に加えて、初対面のお客さんとやり取りし、その場に合う曲や演奏を届ける力が求められます。お店の営業を理解し、挨拶や約束を守ることも大切です。
平成流し組合では、弾き語り、歌のみ、ギターのみ、その他の楽器での参加を受け付けています。歌い手と奏者がコンビを組んで活動することも可能です。
参加を希望する方は、募集案内と応募・審査の流れをご覧ください。動画などによる事前審査、面談や実技、研修を通じて、流しとして現場に出る準備を進めます。仕事の考え方や実践については、著書『流しの仕事術』やパリなかやまのnoteでも紹介しています。